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シュテックラー...(小声)

銀塩モノクロ写真を始めて苦節5年、技術的に何の成長もないまま時が流れたが、ここに来て人生で初めて印画紙といふものを自分で買つた。今までは学校の暗室にある何年前に期限が切れたものかも分らぬお古の印画紙をタダでバンバン使つて来たが、期限切れといふことはつまりちやんと現像できる保証がまるでない訳で、同じ種類の印画紙でも年代によつて露光時間が違つたり、謎のクッソ汚いカブリが出たりして、学校の片隅の暗室で毎回毎回バクチを打つといふ、これは一寸さすがのマル暴ですら手に負へない状況になつてゐたのだ。いい加減自分の印画紙は自分で買ふか、さうだ、バライタ印画紙と水張り板を買つて洒落たパネルでも作るか、さうしてハリキつて京王線の急行に乗り込んで、ハリキつて新宿ヨドバシカメラ館の6階へ乗り込んで、ハリキつて目当ての品をレジに差し出して、手持ちが無いのでカードで切つて、翌日ハリキつて学校の暗室で自信作のネガをああでもないかうでもないと、自分で買つた印画紙なのでケチケチと切り刻みながら試し焼きして、さあ現像、停止、定着、バライタだから水洗時間は90分、長いなあ、暇だしさつき失敗したプリントでパネルに捨て貼りしてみるか、あれ、やけに紙が硬い、それに何で一晩かけて乾燥すべきバライタ紙がもう乾きかけてるんですかね...(困惑)

どうやつても全然パネルに貼りつかないのでどうしたもんかと、改めて印画紙の箱を見てみたら、「フジブロWP」の文字。裏面の説明書にはバライタ印画紙として「フジブロマイド」の名前が挙がつてゐたので、この「フジブロWP」くんもてつきりさうだと思つてゐたら、どうやら違つたらしい。「WP」とは一般にいふ、全体をレジンでコーティングしたRCペーパーのことだつたのだ。これぢやあ紙に水が染み込まないので水張りなんて出来る筈がない。思へば、富士フイルムは「フジブロマイド レンブラント V」を最後にバライタ印画紙の製造を終了してゐたのだ。
嗚呼、生産終了した製品をさも今も作つてゐるかのやうに書くなや、ああだかうだ、ついつい富士フイルムに対して文句垂れたくなつてしまふけど、普通に考えてロクに調べもせず買つたこつちが悪いんだよなあ。でも何だよWPつてよぉ...変な用語使ふなや...

と、いふことが今日あつて哀しみの極の中にゐつつ思ひ出したが、シュテックラー氏式二浴現像といふのがあるらしい。数年前に買つたまま積んでゐた中川一夫氏著「現像引伸がうまくなる本」を久々にパラパラとめくつてゐたら見つけた。昔からまことしやかに語り継がれてきた現像技術の迷信あれこれをバッサバッサと切り捨て、疑問点はフイルムメーカーに直接電凸し、担当者に「そんな基礎的な研究は今やつてません」と断られつつも本当に正しい現像引伸の方法を伝授してくれる名著なのだが、当時中川氏はこの方法で現像してゐたらしい。何でも感度・種類問はず一定の現像時間で処理すれば良いさうで、本当だとすれば正に理想の現像液である。ただ今では色々と否定的な批判が多く、完全に過去のロストテクノロジーみたいだ。ただやはり、単薬をあれこれ買つて自分で調合するといふ行為の魅力に負けてやつてみることにした。

原材料は硼砂・無水亜硫酸ソーダ・メトールの3種類。はじめのふたつは簡単に手に入るが、最後のメトール、これが難しい。現像の主薬なので、どこのメーカーも生産を終了してゐたり、あつたとしても高純度の実験用試薬で250グラムで10000円もしたりして、銀塩受難の時代をひしひしと感じた。と思つたらヨドバシ.comで25g600円の物を発見。世の中Amazonだけぢやないんですね~(歓喜)

と、いふ訳でまた新宿行つて買つて来ちやつた。まだ実際に現像はしてゐないので、まあその辺はまた次回。


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