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をーくまん物故割れた

 この「物故割れた」と云ふの、パソコンに元から入つてゐるMS-IMEで「ぶっこわれた」と打つと誤変換されて出てくる語句なのだが、「物故(人が死ぬこと、といふ意味らしいゾ)」と「割れた」と云ふ字面が昨日ウォークマンをポケットから落してしまつたところに運悪く自転車が来て踏みつけられ、画面がグシャグシャになつて全く使ひ物にならなくなつてしまつたといふ今のクッソ哀れな状況にいかにも相応しい。しかしながら僕は2009年にベータ版が出て以来ずつとGoogle IMEくんを使つてゐる。彼は「ぶっこわれた」と打つてもちやんと「ぶっ壊れた」と正しく変換してしまふので、タイトルを打ち込む時にいちいち「ぶっこ」と打つては変換し、「われた」と打つてはスペースキーを押さねばならず、何とも本末転倒なことをしてしまつた。
 そんな訣で、僕が四年半にわたつて愛用してきたウォークマンは、雨降る甲州街道の道端であんまりにもあつさりとその人生に幕を下ろしてしまつたのである。
 
 これは僕にとつて一大事だ。歩いて30分掛る最寄駅に行く道中や、1分毎にタンクをひつくり返して攪拌するだけのクッソ単純な暗室作業、いくらやつても床の見えぬ果てしない汚部屋掃除に、他人のノートの写経をしたりする時、出先で突然感傷に駆られたり、花澤香菜ちゃん分が不足してどうにもならんやうになつた時なんかにはウォークマンが無いとやつて行けない。インターネットの通販やオークションでなるたけ安いのを探し求めてもよかつたが、何せ状況が逼迫してゐるので翌日すぐに武蔵府中から新宿へと下り、ヨドバシカメラ新宿西口本店へと向つた。新宿のヨドバシなんて、飛騨にゐた頃は年に一回あるかないかの東京旅行の終盤、京王のバスターミナルで帰りのバスを待つ間の暇つぶしに立ち寄つて、なけなしの小遣ひで地元では手に入らぬ英国イルフォードやチェコはフォマのフイルムを一本だけ買つて惜しみ惜しみ使ひ、箱からパトローネまで部屋の引き出しに大事にとつておく...といふ、まさしく憧れの場所であつた。思へば自分がチェコに惹かれ、東京の外国語専門校を志望して今かうして東欧の斜陽言語なんかやつてゐるのも、夢の街東京の一角の、思はぬところでチェコ製品との出会ひがあつたのが大きいのかもしらん。そんなヨドバシの本店を、平日の夕方、すつかり日が暮れてから交通費ゼロで(実は訣あつて京王電鉄の電車全線定期券を持つてゐるのだ)ふらりと訪れ、その日のうちに帰つて来られるやうになるとは。ここでもまた、自分が故郷を離れ、随分遠くまで来てしまつたことを実感するのである。

 終点の新宿駅に着くと、当然ながら全員が降りる。降車ホームから改札に向ふ階段は人が詰つて中々進まない。夕方の時間帯と云ふのは、都心で働いたり学校に行つてゐた人達が西東京のベッドタウンに帰るので普通下り電車の方が圧倒的に混雑するのだが、それでも上り電車にはあれだけ沢山の人間が乗つてゐるのか。朝の通勤ラッシュの時間帯、上りの特急電車が到着しようもんならこの駅は撮り鉄用語でいふところのまさしく激パ状態になつてしまふだらう。一時期新宿駅でアルバイトしようと考へてゐたことがあつたが、やはりさうしなくて正解だつた。
 すぐにでもヨドバシに向ひたかつたが、朝から何も食べてゐなかつたのでとりあへず松屋へ行く。人間、物欲よりは食欲の方が勝るらしい。次点で性欲と睡眠欲のどちらが来るか。やはり睡眠欲なのかなあ。夫が毎日多忙で疲れ果ててセックスレスになり、妻が欲求不満になるといふの、よく耳にするものね。僕は彼女なし童貞マンなので関知しないけれど。
 松屋に行くと、僕はいつもキムカル丼とポテトサラダを注文する。似たやうなのにビビン丼があるが、あれはやめた方がいい。キムチばかり多くてその分肉が少く、原価厨的観点からすると損をした気分になるからだ。どうも貧乏性でよくないね。夕飯時だつたので、店は大盛況。厨房では怒号みたいなのが飛び交つてをり、飲食バイトだけはやりたくないと思つた。書き入れ時の飲食店なんて、駅でいつたら人身事故が起きて振替票と遅延証を求める客で改札がごつた返してゐる時と同じぐらゐの激パ状態なのではないだらうか。ところで店が繁盛する時間帯を意味する「かきいれどき」といふの、僕はずつと「掻き入れ時」と書くと思つてゐたのだが、正しくは前述の通り「書き入れ時」らしい。ネットの語源由来辞典くんによると、「商売で売れ行きが良い時には、取引の数字などを帳簿に書き入れることが多くなることから、『書き入れ時』というようになった」とのことである。いやア、世の中知らないことがいつぱいだ。
 そんなこんなで食欲が満されたので、次は物欲の番。数人の諭吉なぞ持ち合せてはゐないので、コンビニで下さねばならない。近くのファミマに書け込んで、ATMに「4万」と打ち込む。いつも生活費として数千円下ろす時には「パタタタタ.....」と何とも軽妙な音がするのだが、数万円となると「ズトトトト.....」と、金額だけでなく紙幣を数へる音も重い。明細を見てみたら、今年の後半からバイトを初めて以来、給料の半分以上を使ひ込んでゐることが分つた。大学にゐる間、一年ぐらゐは海外に逃亡したいのならかなりの金を貯めねばならぬのだから、これではダメぢやないか。しかし、自分を魅了し続けて止まることを知らないこの文明のコンテンツ生産の一大中心であるところのメトロポリタン東京に出てきてしまつてゐるのだから、まぁ多少(の浪費)はね?

 いけないけない。結局ここまで書いてまだウォークマンを買つてゐないぢやなイカ。しかしまあ紙面も足らぬので、それではみなさん、さいなら~(激寒)
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