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帰つてきた涙目ソラリゼーション【発掘篇】

眠れぬ夜には、どうしても過去を振り返つてしまふ。6年前の大晦日にツイッターを初めて以来のpost数は76,000余り、某アプリで文庫本に換算してみると35冊にのぼるやうだ。リツイートも多分に含まれてゐるだらうが、我ながらたまげる。

結構前に、自分のアカウントの全ツイートが閲覧出来るやうになつた。深夜につらつらと眺めてゐると、高校生の頃から今に至るまでの自分が、さながら万華鏡を見るやうに思ひ出される。どんなアニメを観てゐたか、何を読んでどう思つたか、どんなものにいつ興味を持ち始めたか...自分の事でありながら、今となつてはすつかり忘れてしまつたことばかりだ。もはや何を意味するか分らなくなつてしまつたツイートもあつたりして、つい最近ツイッターを始めたと思つてゐたが、ずいぶん遠くまで来てしまつたなと、しみじみしてしまふ。

小・中学校では連絡帳か何かで散々日記のやうなものを書かされたが、ついに日記をつける習慣は身につかなかつた。しかしかうしてみるといつの間にか、ツイッターが自分を振り返る上での第一級の資料と化してゐた。

ところでこのステハゲブログも、気づかぬうちに開闢4周年を過ぎてゐた。更新頻度がツイッターに比べて以上に低いが、画像が多かつたり文章が長いぶん、また違つた過去の自分が見えてくるやうな気がする。特にどの写真が何の写真でいつ撮つたかなんてのは、ロクにネガ整理もしない自分にとつてはありがたいことこの上ない。

で、また深夜にこのブログの過去記事を眺めてゐると、こんな記事を見つけた。見つけたつて、お前が書いたんだが。
『涙目ソラリゼーション』
http://tnkmark1.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

生産終了するからとネオパンSSを買つて現像したはいいがあらうことか定着液と現像液を間違へ、盛大に感光させてしまつたといふ涙を誘ふ記事である。当時も相当面食らつたやうで、こんな事をのたまつてゐる。

「ここで結果を晒して反省しよう。寧ろ引伸が樂しみになつてきた。
結果は後日。誰も見ちやゐないだらうが、刮目して待て!」

刮目して待て!と言ひつつ、4年近くも経つてゐたのか...(困惑) その問題のネガが手元にある。

黒杉ィ!でも太陽にかざすとうつすら写真が見えるので、じつくり焼けばなんとかなりさう。数年前の失敗ネガ、一体どうなるのか。今度こそ、刮目して待て!
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現像完了です...(達成感)

高校3年の頃は受験生の身分でありながら、行事等で写真を撮つてはゐた。ただ流石にじつくり現像する時間を設ける勇気は無かつた。大学に入つて暗室作業を再開したが、これまで散々書いて来た通り途中で不登校状態となり、これはつまり暗室のあるところのサークル棟からも足が遠のくといふことであるから、再び写真を撮りはするが全く現像しないといふことがしばらく続いた。さうかうする内に未現像のフイルムは溜まり続け、最近やうやくまともに学校へ行けるやうになつてから、それらのフイルムを暇を見つけてはちまちまと現像してゐる。今回のシュテックラー氏式二浴現像液のテストも、過去に撮影した未現像のフイルムを使用した。

あらかじめ作つておいたA液とB液を用意し、手順に示された通りに現像していく。これまでは「現像液」としてあらかじめ調合された既製の薬品をただお湯に溶かして現像してゐたが、今回は違ふ。メトールを、亜硫酸ソーダを、硼砂を、それぞれ単体で溶液にして現像タンクに突つ込んでも、臭化銀中の潜像が浮び上ることは決してないのだ。これらを混ぜ合せたところで果して本当に現像されるのかしらん。自然科学に素養のないダメな文系学生としては、普通に不安がよぎるんだよなあ...さうかうしてゐるうちに現像・停止・定着まで滞りなく作業が進み、いよいよ全暗黒の現像タンクからフイルムを取り出す。

ちよつと感動してしまつた。紫がかつたセルロースの支持体に、明暗が逆転した過去の記憶が乗つかつてゐる。現像したんだから当たり前だが、現像液の自家調合なんか初めてだからね。思へば、数年前に初めて現像した時もさうだつた。撮影済のフイルムを得体の知れない薬品に漬け込んでえつちらおつちら撹拌すると、ちやんと現像出来てゐる。目の前の光景を感材に焼き付けて再現する写真といふ行為。今となつては何の有難みもないが、その喜びを改めて感じられるところに、自家現像の醍醐味があるんだらうなあ。今回の暗室作業で、そのあたりを再確認出来た。

それから出来上がつたネガをスキャンしたのであ、上げますよ~。フイルムはイルフォードのDELTA 400くんです。

い

あ

う


おお、普通に現像出来てゐる。ネガをスキャナで取り込んだだけなのであんまり綺麗な写真ではないが、まあ問題ないのではないでせうか。

何しろ2年ほど前に撮つたネガなので詳しいことは覚えてゐない。1枚目はおそらく上野東京ライン開業初日の東京駅。2枚目はおそらく高尾山の登山道。それから3枚目はおそらく練馬某所。すべてに「おそらく」を付けねばならない。哀しいね。ただExif情報で撮影日から何から全部分つちやふといふのもそれはそれでつまらんので、まあいいか。

とにかく、シュテックラー氏式二浴現像で大丈夫といふことが分つた。まだ単薬はたんまりあるから、これでしばらく淀橋浄水場跡地のお世話にならなくて済む。

太いシュテックラーが欲しい...

あんし

さて、いよいよ単薬を調合して二浴の現像液を作りますよ。レシピは以↑下↓中川一夫『現像引伸のうまくなる本』(昭和52年 朝日ソノラマ)から引用したゾ。

【A液】
水...750cc
メトール...5㌘
無水亜硫酸ソーダ...75㌘
水を加へて...1,000cc
【B液】
硼砂...10㌘
水を加へて...1,000cc

何故か電子天秤が家にあつたので非常に助かつた。本当は実験用の薬包紙とか薬匙があつた方が良いのだけど、わざわざ都区部の東急ハンズくんだりまで足を運ぶのは面倒なので、その辺にあつた紙切れと、コンビニで貰へるプラスチックのスプーンで代用。厳密にやるなら宜しくないのかもしらんが、計量する上で特に問題は無かつた。

つ


そんなこんなで現像しますよ~するする...ヌッ!定着液だの水洗促進剤だの、酢酸だのドライウェルだのを一気に机の上に置いたら何がなんだか...これもう和姦ねえな。現像時間は液温24度でA・B共にそれぞれ4分程度。A浴ではただ単に現像主薬をフイルムに染み込ませるだけで現像そのものは進まず、次のB液がアルカリ性の溶液になつてゐるので、ここで染み込んだ主薬による現像がどんどん進む、といふ仕組みらしい。それ故A浴の後に水なんか入れてしまふと全く意味が無いワケで、注意が必要ですな。
はてさてどんな結果になるのか、楽しみなところである。

シュテックラー...(小声)

銀塩モノクロ写真を始めて苦節5年、技術的に何の成長もないまま時が流れたが、ここに来て人生で初めて印画紙といふものを自分で買つた。今までは学校の暗室にある何年前に期限が切れたものかも分らぬお古の印画紙をタダでバンバン使つて来たが、期限切れといふことはつまりちやんと現像できる保証がまるでない訳で、同じ種類の印画紙でも年代によつて露光時間が違つたり、謎のクッソ汚いカブリが出たりして、学校の片隅の暗室で毎回毎回バクチを打つといふ、これは一寸さすがのマル暴ですら手に負へない状況になつてゐたのだ。いい加減自分の印画紙は自分で買ふか、さうだ、バライタ印画紙と水張り板を買つて洒落たパネルでも作るか、さうしてハリキつて京王線の急行に乗り込んで、ハリキつて新宿ヨドバシカメラ館の6階へ乗り込んで、ハリキつて目当ての品をレジに差し出して、手持ちが無いのでカードで切つて、翌日ハリキつて学校の暗室で自信作のネガをああでもないかうでもないと、自分で買つた印画紙なのでケチケチと切り刻みながら試し焼きして、さあ現像、停止、定着、バライタだから水洗時間は90分、長いなあ、暇だしさつき失敗したプリントでパネルに捨て貼りしてみるか、あれ、やけに紙が硬い、それに何で一晩かけて乾燥すべきバライタ紙がもう乾きかけてるんですかね...(困惑)

どうやつても全然パネルに貼りつかないのでどうしたもんかと、改めて印画紙の箱を見てみたら、「フジブロWP」の文字。裏面の説明書にはバライタ印画紙として「フジブロマイド」の名前が挙がつてゐたので、この「フジブロWP」くんもてつきりさうだと思つてゐたら、どうやら違つたらしい。「WP」とは一般にいふ、全体をレジンでコーティングしたRCペーパーのことだつたのだ。これぢやあ紙に水が染み込まないので水張りなんて出来る筈がない。思へば、富士フイルムは「フジブロマイド レンブラント V」を最後にバライタ印画紙の製造を終了してゐたのだ。
嗚呼、生産終了した製品をさも今も作つてゐるかのやうに書くなや、ああだかうだ、ついつい富士フイルムに対して文句垂れたくなつてしまふけど、普通に考えてロクに調べもせず買つたこつちが悪いんだよなあ。でも何だよWPつてよぉ...変な用語使ふなや...

と、いふことが今日あつて哀しみの極の中にゐつつ思ひ出したが、シュテックラー氏式二浴現像といふのがあるらしい。数年前に買つたまま積んでゐた中川一夫氏著「現像引伸がうまくなる本」を久々にパラパラとめくつてゐたら見つけた。昔からまことしやかに語り継がれてきた現像技術の迷信あれこれをバッサバッサと切り捨て、疑問点はフイルムメーカーに直接電凸し、担当者に「そんな基礎的な研究は今やつてません」と断られつつも本当に正しい現像引伸の方法を伝授してくれる名著なのだが、当時中川氏はこの方法で現像してゐたらしい。何でも感度・種類問はず一定の現像時間で処理すれば良いさうで、本当だとすれば正に理想の現像液である。ただ今では色々と否定的な批判が多く、完全に過去のロストテクノロジーみたいだ。ただやはり、単薬をあれこれ買つて自分で調合するといふ行為の魅力に負けてやつてみることにした。

原材料は硼砂・無水亜硫酸ソーダ・メトールの3種類。はじめのふたつは簡単に手に入るが、最後のメトール、これが難しい。現像の主薬なので、どこのメーカーも生産を終了してゐたり、あつたとしても高純度の実験用試薬で250グラムで10000円もしたりして、銀塩受難の時代をひしひしと感じた。と思つたらヨドバシ.comで25g600円の物を発見。世の中Amazonだけぢやないんですね~(歓喜)

と、いふ訳でまた新宿行つて買つて来ちやつた。まだ実際に現像はしてゐないので、まあその辺はまた次回。


安からう、悪か...???

とかいふタイトルで記事を書かうとしてゐたやうである、半年以上前の自分は。久々にFC2のブログ管理ページを眺めてゐたら未投稿の下書きとして保存されてゐた。何の事かと前回投稿した時から記憶を辿つてみると、チェコへ初めてのサマー・スクールに参加した後、「研究」と称して古今の深夜アニメ作品を来る日も来る日もそれこそ狂つたやうに観続け、後期の授業が始ると更にサボり癖が加速し、普段は温厚なチェコ人テイティブから「テメエ次休んだら単位やらねえからな」と最後通牒を突きつけられ、こりや一寸やべえなと週2回ある会話の授業はなんとか毎回出られるやうになつたものの、1年の頃から落し続けてきた必修単位の不足には目を覆ふばかり、薄々気づいてはゐた「留年」といふ現実がやうやく実感せられるやうになつたのであつた。この頃から僕は関東村跡地の何もない荒野にブチ建てられたお洒落一辺倒大学の目の前に居を構へ市の中心部へ行くにも電車を乗り継いで30分以上掛かるやうな生活に嫌気が差し、猥雑としつつも便利な京王線沿線への転居を真剣に考へるやうになる。年が明けてしばらくすると流石に実家にも留年がバれ、怒り狂つて即日上京してきた母親と共に、ゴミ屋敷清掃業者も入れつつ泣きながら悲願の引つ越しを終へた。新居は京王線特急停車駅から徒歩3分の好立地でありながら家賃はでら安く、通学に30分も要すやうになつた。まあしかし学校といふのは多少離れてゐた方が通ふやうになるもんなんだよな。春になつて飛騨へ帰省すると、すぐさま家族・親族への大謝罪大会。色んな人に色んな言葉をかけられ、ああ自分は人様の金で大学行かして貰つてんだなと、今更痛感したのである。ああつれえつれえ、ウサ晴らしに中古ショップでも行くかと、まだ雪の残る街へ繰り出して見つけたのがこのカメラ。



KONICAのC35くんですね。1964年発売のコンパクトカメラ。「ジャーニーコニカ」の名で親しまれ、カメラがますます大衆化するのに一役買つたらしい。写真ぢや分り辛いかもわからんが、ズボンのポケットに突つ込んで歩けるほどの小ささ。これでハーフでなくフルサイズの35mmで撮れるのはすごいね。絞りと露出はフルオートなので自分で弄ることは出来ないけれど、ピントを合せて何も考へずシャッターを押すだけなのでこつちの方が楽でいい。シャッターを半押しすればシャッタースピードを固定出来るし、バルブもセルフタイマーも付いてゐる。よつぽど特殊な撮影でない限り、これさへあれば十分なんぢやないか。1964年といふと、ニコンが初めて露出オートのカメラ「Nikomat EL」を出す8年前である。ウィキペディアくんによると世界初の実用的なEEカメラが出たのが1960年らしいので、その4年後に出たカメラが未だに使へるといふのはやはりその、すごくすごいのだと思ふ。

で更にすごいのが、コニカミノルタのサイトにアフターサービスのページがあるのだけど、そこでこのカメラの説明書がPDFでダウンロード出来るのだ。リンクはこ↑こ↓
http://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/support/manual/ls/other-ls.html
当時の説明書をスキャンしてその画像をそのままPDF化したのかと思ひきや、ご丁寧に文章の部分がテキスト化してある。カメラ・フイルム事業から撤退して幾星霜、まだ過去の製品のこと忘れんであげとるんやな...と思ひきや、普通にコニカミノルタは未だにレンズだのカメラ用レンズキットなんか作つてるし、上に挙げたページはケンコー・トキナーの「コニカミノルタ製品アフターサービス」ページだつた。そもそもケンコーとトキナーつて合併してたのかよ...そして「Tokina」は「トキナー」と伸ばすのか...何だか今までの認識が全部引つくり返つてしまつた。

で気になる写りはといふと、



う~ん、普通に問題ないですね。チェコはブルノの自由広場なんですが、古風な建物にマクドナルドが入つてゐるのが風情がある。

で、これが地元の中古ショップで買つたら1500円。安からう、悪からう、ではないこともあるらしい。この中古ショップ、一見ゴミしか置いてゐないのだけど、たまにかうしてクソ安掘り出し物くんが発掘されるので、帰省するたびに通ひつめてゐる。そのへんについては、また次回書かうと思ふ。

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